令和5年1月20日に開催された国の文化審議会において、「甲賀売薬の製造・販売用具」2,488点を登録有形民俗文化財に登録するよう文部科学大臣に答申されました。
この用具は配置売薬として知られる甲賀売薬の製造と販売に使用された用具類で、甲賀の山伏たちが各地に配札する際に土産として持ち歩いたことに始まるとされ、近代以降は甲賀の主要な産業として発達したものです。用具類には薬剤をすり潰す薬研や丸薬を作る製丸機などの製造用具と、配置売薬で使用した行李やさまざまな図柄の薬袋などの販売用具からなり、これらは製薬企業や市民の方々から寄贈されたものです。
甲賀の産業の歴史を知る上でも、また薬業の変遷や日本各地に薬を売り歩いたという交易の歴史を知る上でも注目できる資料で、《交易》の分野での国登録はこれが最初となります。