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- 初夏の身近な薬草の紹介 ⑤イベント告知
桜の花も咲き終わってしまい、「今年の桜はすっごく綺麗だったね」と言いたいところですが、私たちの方(甲賀町)では寒暖の差が激しくて今咲こうと思っていた桜も寒さで花が開かず、枝に蕾のまま残ってしまいシーズンが終わってしまいました。
こんなの〇十年私の記憶では初めてです。今では満開を見ずに葉桜になってしまいすごく寂しいです。でも、入れ替わりに八重のぼたん桜が咲いてとても綺麗でした。これからの季節、野山の木々は新芽を出し、初夏の景色に変わろうとしています。
シリーズで③、④と春の身近な薬草を少し紹介しましたが、⑤では、初夏の身近な薬草を紹介しましょう。
◇ウツギ ◇(ユキノシタ科)
◎自生、特徴
山野に広く見られ、よく枝分かれし、2~3cmの高さとなります。
花期は5~6月で5枚の花弁からなり、鐘状をしています。葉は対生し、葉身には裏表ともに毛があります。秋にできるさく果は直径4~5㎜の球状で冬まで残り、中に細かい種子が入っています。
◎薬用部位と薬効
9~10月頃の果実や、発芽期の葉を用います。利尿薬として果実は3~9gを、葉は10~15gを煎じて用います。
◎名前の由来とその他
卯の花は卯月(旧暦4月)に開花するとか、茎の髄が発達し、芯が空になるので“空木”(うつぎ)と名付けられたと言われています。
◇クリ ◇(ブナ科)
◎自生、特徴
山野に自生したり、栽培されます。自生品はシバグリ(柴栗)。落葉樹。高さ15~20mにもなる高木で、雌雄異株。6~7月頃花柄の上部に雄花、その下に雌花が特有の強い香りを出して開花します。
◎薬用部位と薬効
葉、樹皮、いがを用い、湿疹やかぶれに葉5~10g、また樹皮やいがは5g程度を煎じて外用とします。
◎名前の由来、その他
いがの実が黒いために黒い実からクリに転訛したとされ、クリは古代から重要な食糧の一つで、中国の天津甘栗やフランスのマロングラッセなどが有名です。
◇シラン ◇(ラン科)
◎自生、特徴
5~6月頃に紅紫色の特徴ある花が咲き、美しいです。少し湿った場所を好みますが、自生や栽培を方々で見ることができ、冬には地上部が枯れてしまいます。4月ごろ発芽して葉は3~5枚出てきます。その長さは20~30cmで互生します。
◎薬用部位と薬効
地下に擬球茎があり、生薬の白及(びゃっきゅう)はこれをよく洗浄して、湯通し後乾燥したものです。 多量に粘液を含むので生の擬球茎は糊として使用することもできます。薬用には止血や消炎に用いられます。
◎名前の由来、その他
紫色の蘭であることに由来します。白及(びゃっきゅう)は白い擬球茎が連なって地下にあることによります。花も中国では蘭花として知られています。
◇スイカズラ ◇(スイカズラ科)
◎自生、特徴
山野の日当りの良い場所に生育し、冬でも落葉せず見ることができます。蔓性(つるせい)で右に巻き、葉は長さ3~7cmの対生楕円形。花は5~6月頃に2個ずつ咲き、白色から後に黄色に変化していきます。
◎薬用部位と薬効
花を乾燥したものが生薬の金銀花(きんぎんか)です。茎および葉は忍冬(にんとう)と呼ばれ、いずれも薬用とされます。金銀花は解熱やでき物の治療を目的とした漢方薬の原料です。忍冬は茶剤として利尿効果を期待して用いられることもあります。
◎名前の由来、その他
金銀花は花の色が白から黄に変化することから、また忍冬は冬でも葉が枯れないことからきています。花をそのまま食したり、薬用酒として用いることもあります。
スイカズラとは花の中の蜜を吸う吸葛(すいかずら)であったり、でき物の腫れを吸い取ることができることなどからと言われています。英名も花の蜜と関係のある名前がついています。
◇セッコク ◇(ラン科)
◎自生、特徴
老樹や岩に着生しています。草丈は5~20cmで、光沢のある3~5cmの葉を数枚互生し、5~6月に白から淡紅色の花を咲かせます。芳香もあります。
◎薬用部位と薬効
全草を健胃剤や精力増強剤とします。
◎名前の由来、その他
石斛(せっこく)の中国名を音読みしたものです。デンドロビウム(Dendrobium)属は、主として熱帯~亜熱帯に約1000種も分布し、園芸用としてよく知られています。
初夏に咲く身近な薬草を紹介しました。