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- 身近な薬草の紹介 ③イベント告知
立春とは名ばかりで、前~~に過ぎたのに毎日寒い日が続きますね。いつになったら暖かくなるのかしら?でも、花の芽は日に日に春に近づいてきていますよ。春に花咲く身近な薬草を紹介しましょう。
◇ウメ ◇(バラ科)
◎自生、特徴
万葉集には梅の出てくる歌が114首もあるくらい日本人に親しまれた植物であります。バラ科に属し、中国原産で北海道以外の地域で栽培されています。5弁の特徴ある花と香気が古来から愛されています。用途によって観賞用の花梅と実を収穫する実梅、どちらにもなる中間種があり、その基源により野梅系、豊後系、紅梅系に大別され、植物形態上さらに5分類されます。
◎薬用部位と薬効
実を漬けたものは今でも中国で見られ、特に砂糖漬けの老酒は有名です。単に熟した梅を塩漬けした後に現代のように紫蘇を用い、色と風味を加えたのは江戸時代になってからです。烏梅(うばい)として漢方薬原料ですが、鎮咳、止瀉(下痢止め)整腸剤がその主な薬効です。梅肉エキスとしていずれも梅が用いられ、用途は烏梅(青梅の薫製)と同様で、さらに食欲亢進、疲労回復など、酸味成分のクエン酸も重要な作用をしています。梅酒は広く愛用され、この場合は少し青い実を用います。
◎名前の由来、その他
中国音“梅”(めい)の転訛あるいは“うむみ”(熟実)、また漢方薬の烏梅からなどといわれています。古名は“むめ”です。
◇モモ ◇バラ科
◎自生、特徴
中国北部の高原地帯が原産とされています。日本へは古くに渡来し、日本書紀にすでにその記載が見られ、桃には邪気を祓う力があると信じられていました。花は3月末~5月の種類により異なる時期に咲きます。桃も梅と同じ5弁の花で、花は梅よりも大型です。
◎薬用部位と薬効
果実を食用とするようになったのは明治以降で、それまでは花とその種子中にある仁(桃仁とうにん)を薬用に採取するために用いられていました。桃仁は漢方原料として、桃核承気湯(とうがくじゅうきとう)など血液の鬱滞(うったい)を除く目的で処方されますが、専門家の指導のもとで使用する生薬です。3月3日の桃の節句は、桃の木に宿っていると信じられていた呪力や人形に穢(けがれ)を移し川に流す流し雛、人形を飾る遊びなどから江戸時代中期以降に現代風のひな祭りが完成したと考えられています。日本には桃太郎伝説の他、桃に関係する話が中国ほどではないが多く見られます。
◎名前の由来、その他
在来種のヤマモモがモモで、中国から伝来したのは毛モモでしたが、毛モモがモモとなったとされます。モモとは果実のように丸くて中が堅いものの意味で、和名は毛毛と示されています。
◇サクラ(ソメイヨシノ) ◇バラ科
◎自生、特徴
ヤマザクラ系に属するソメイヨシノは方々に植栽されていますが、山林内や鈴鹿山系にはヤマザクラ、オオシマザクラなど5月中旬まで開花しているのが見られます。日本には約30種の桜が自生しているといわれています。平家物語、平忠慶の歌で“さざなみや志賀の都はあれにしをむかしながらの山ざくらかな”は有名で、古くからサクラが梅とともに愛されていたことがわかります。
◎薬用部位と薬効
6~7月頃の樹皮が剥がしやすく生育期に採取するのが生薬の桜皮(おうひ)です。漢方薬では皮膚病に有効な処方中に配合されます。また、この樹皮を湿疹や蕁麻疹が出たときに、約30gを風呂に入れたり、飲用の場合は10gを煎じ、数回に分けて服用したりもする。さらにサクラ餅用の葉もいわゆるボタン桜から、その花や蕾は塩漬けとして、いずれも飲茶用にされる。秋田県の田沢湖の近くにある角館(かくのだて)の町は樺(かば)細工が有名ですが、このカバとは桜皮のことで白樺などとは違います。
◎名前の由来、その他
古事記に見られる木花開耶姫(このはなさくやひめ)の開耶(さくや)が転じたとされていますが、農耕文化中心の古代でサクラは春を知らせる神聖な花とされ神霊が宿っている木と考え、古事記の名前も生まれたといわれています。