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- 身近な薬草の紹介 ④イベント告知
昔から、2月は逃げ月と言われるようにアッというまに過ぎ去り、3月10日になりました。
月日の経つのは速いもので明日(11日)で、あの東日本大震災がおきてから丸二年になろうとしています。震災で多くの命が奪われ、未だ行方の分からないままの方々がおられ、何んとも言えない気持ちでいっぱいになります。心よりお見舞い申し上げます。
でも、季節は一歩一歩前に進み、もう目の前に春がやってきました。
③で紹介しましたが、続いて春に咲く身近な薬草をもう少し紹介しましょう。
◇スミレ ◇(スミレ科)
◎自生、特徴
花期の高さは地上7~15cmほどで、3~5月に濃紫色(まれに白色)の花が咲き、秋ごろまで次々と開花します。日当りのよい山野によく見られます。5枚の花弁の中で下弁1枚が後方へ袋状に膨らみます。果実は楕円形で、熟すと種子を3裂した中からはじき飛ばします。
◎薬用部位と薬効
花部が鎮痛作用を有します。
◎名前の由来、その他
花の形が大工の使用する墨壺に似ているためといわれています。若葉を湯がいて食用とし、万葉集にも山菜として歌われているくらいです。Violetといわれる植物は世界中に500種もあり、広く分布しています。
◇アンズ ◇(バラ科)
◎自生、特徴
中国原産で、日本へは古くに渡来したとされています。野生もあるといわれていますが、ほとんど植栽されています。梅よりも遅れて3~4月初旬に開花します。梅と同じ5弁の淡紅から紅色の花を開かせます。実のならない観賞用のものも栽培されています。長野県更埴市(こうしょくし)は有名なアンズの栽培地として知られております。
◎薬用部位と薬効
アンズの果実の果肉は食用となり、種子の中の仁が杏仁(きょうにん)という生薬です。漢方の原料の一つで“麻杏甘石湯”(まきょうかんせきとう)など鎮咳作用を期待して用いられます。杏仁の中には青酸配糖体が含有され、多量の服用で呼吸中枢を麻痺させるので専門家の指導のもとに使用してください。
◎名前の由来
中国の杏子の読み方から転訛したとされています。古くはカラモモと言われておりました。
◇タンポポ ◇(カンサイタンポポ、キク科)
◎自生、特徴
日本各地には20種ほど自生しています。甲賀町内にもカンサイタンポポといわれるものや、花の白いシロバナタンポポ、さらに明治初期に渡来したセイヨウタンポポ(Dandelion)などどこでも見られます。西洋種と在来種との区別は主に総苞片(そうほうへん)と呼ばれている頭花を支える緑の部分を見ますが、西洋種はこの部分がまくれています。葉はロゼット状でその中心から茎が伸び、2~5月に花を咲かせます。
◎薬用部位と薬効
通常開花前の葉の根部を水洗いし乾燥したものを用いますが、通年採集して用いられます。漢方薬では“蒲公英湯”(ほこうえいとう)といいます。解熱、解毒、抗炎症作用や吹き出物にも有効といわれております。催乳効果なども期待できます。全草の乾燥生薬であれば、1日2~4gを煎じて数回に分け服用します。蒲公英湯中には8gの乾燥根が処方されています。
◎名前の由来、その他
葉も含めた全体を上から見ると、鼓草(つづみぐさ)の別名があるくらい鼓の形によく似ています。この鼓を打つ音から“タンポンポン”となったとか、綿毛のタンポンに似ていることや、茎から花にかけての形が稽古用のたんぽ槍に似ていることなどによるといわれています。若葉を茹で水で晒し、よくアクを抜き、お浸しや天ぷら、和え物として食用にできます。また、乾燥葉は刻み、フライパンで少々焦がし、コーヒーミルで粉末にすればカフェインのないコーヒーの代用としても用いられます。
春に咲く身近な薬草を紹介しました。